平成26年度FJC総会 レポート

記念講演会

「FJCだからできるコミュニティづくり・事例に学ぶ ~エンディングノートは“縁”づくりノート~」

NPO法人高齢者快適生活つくり研究会
代表理事 吉永 美佐子 氏
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●福岡県久留米市の医療法人楠病院常務理事、ケアマネジャー、社会福祉士。代表理事を務めるNPO法人高齢者快適生活つくり研究会では、「エンディングノート作成委員会」による地域づくりモデル事業を展開中。FJC協会理事。

エンディングノート作成に至った経緯

エンディングノートは人生の終わりに向かうものではありません。私たちは“人生の連絡帳”と名づけています。私は福岡県の久留米市の病院で、社会福祉士としてケアマネジャーの仕事をしています。大正時代からある病院で、地域の方が親子三代にわたっていらっしゃるような病院です。そうした地域の方の介護をどうやって支えていくか、同様の問題意識をもつメンバーが集まって、高齢者快適生活つくり研究会=“こうれい研”をつくりました。

こうれい研には、税理士や司法書士、設計士、ケアマネジャーといろんな職種のメンバーがいます。24年度の活動計画を決める会議で、「最近、エンディングノートっていうのがはやってるらしいよ」という話が出ました。そういうものが、もしかしたらサービスを提供する対象者の方のことを知る手段になるかもしれない、対象者の方や家族と向き合っていくツールにならないか、と盛り上がりました。

私も病院で高齢者の方が亡くなりそうなときに、お子様たちが延命などについてもめるたびに、「ご本人は本当はどうしたかったのだろうか、意識があるうちに聴いておけばよかった」と思うことがよくあります。エンディングノートがあれば、ご本人の気持ちを知る頼りになるのではないかと考えました。

FJC活動の一環として位置づけ

早速、いろいろなエンディングノートを持ち寄って読んでみると、どれも作った人の専門に偏っていることがわかりました。やはり一番多いのが葬儀屋さんのもので、葬儀に関わる内容が重視されています。幸い私たちの研究会のメンバーはいろいろな分野の専門家の集まりですから、さまざまな分野からその人を全体的に理解できるノートにしたい、ということになりました。ご本人を全体的に理解できるもので、地域のなかのいろいろな職種の方とつながるためのツールとして役立つもの……まさにFJCの活動につながります。そこで、エンディングノートをFJC活動の一環と位置づけました。

こうして“こうれい研版エンディングノート”が誕生することになります。内容は、介護・医療、住宅改修、相続、葬式という構成になっています。ノートの役割は「高齢者の自立や高齢者を支える家族、地域の絆の構築を推進していくことを目的に、高齢者の生前の意志の確認と、将来地域で自立した生活を送るためのサポート手段とした、エンディングノートの活用情報の提供、作成の援助を行うこと」としました。

地域の絆の構築とは、たとえば高齢者の方でお子様は東京や大阪という場合に、ご本人のことをお子様よりもむしろ身近にいるわれわれのほうが理解していることがあります。エンディングノートを使って、高齢者の方と遠方に住むご家族をつなぐことができないだろうか、また、隣近所でノートを使って絆をつくっていけないだろうかと考え、エンディングノートの目的に地域の絆づくりをあげました。こうした試みがFJCの活動に今後、つながっていくよう期待しています。

エンディングノート作成講座の開催

さて、“こうれい研版エンディングノート”ができあがり、実際に書いてみようということになって、平成24年9月に第10回こうれい研まつりとしてエンディングノート作成支援講座を開催しました。多くの参加者に集まっていただいたのですが、いざ書いてみると非常に大変で、私自身にもなかなか書けないということがわかりました。そこで次の段階では、小さな地域で継続的にエンディングノート作成講座を開催して、私たちのメンバーが支援をしながら書いてもらおう、ということになりました。

写真:「エンディングノート作成講座」の様子

写真は昨年、福岡県小郡市生涯学習課の高齢者支援講座として開催した「エンディングノート作成講座」の様子です。参加者は10名で最高齢は93歳、若い方は50代の方です。1週間に1回ずつ、5回シリーズで開催しました。初回はまず、地域でのご縁づくりですから、自己紹介からはじめました。隣の人に自己紹介して、お互いをほかの参加者に他己紹介してもらいます。受講の動機についてみなさんにお話いただいて、大変盛り上がりました。

2回目以降は、介護・医療、住宅改修、相続、葬式というノートの構成に沿って、私たちメンバーがそれぞれの専門分野について書き方をサポートしながら進めていきます。みなさんがいちばん迷われていたのは、やはり延命をするかどうかという問題でした。参加者から「それは救急車を呼ばないってこと?」といった質問も出てきて、私たちがそうした疑問に答えながら延命治療の説明をします。また、相続の問題についても、みなさん苦戦されていました。この回は税理士のメンバーが相続税について説明しました。

そして最終回に、「どういう想いをだれに伝えたいか」書いてもらいました。これがエンディングノートのもっとも大切な部分です。自分の人生のバトンをだれに渡したいのか、はっきり決めないと書けません。5回の講座を通してよかったと思ったのは、参加者同士のつながりができたことです。参加者同士が同じ小学校だった、といったこともあります。

こうれい研の今後の課題

こうれい研は“地域で自分らしく生ききる支援”をめざしています。血縁に頼らずとも安心して暮らせる地域づくり、自分の想いを伝え、自分らしく老いを生きる、FJCがノートを活用して地域をつなげていく、といったことをめざしています。

一般にエンディングノートというと死に向かって書くものというイメージがありますが、このノートは、“人生の連絡帳”であることを周知していくことが、今後の私たちの課題です。加えて、講座の回数をもう少し重ねて、なるべく書きやすいノートにしたり、書きやすい方法を見つけていきたいと考えています。また、身寄りのない方のノートをだれが管理していくか、これも大きな課題です。託す人がいない現状があり、成年後見人を引き受ける団体などとも連携しながら、さらに検討を進めていきたいと考えています。

本日はどうもありがとうございました。